Vol.9 医療関係者からみるエイズ

HIVに対する社会的な理解の大切さ

鳥居薬品 presents 「messenger」第9回目のOA。
messengerでは、HIVに関連する性差別や偏見のない世界を目指すため、HIV感染症は身近な病気であるということをより多くの方に知って頂き、HIVについての正しい知識を身に付けることができるよう、音楽を通じて継続的に情報をお届けいたします。
ジョー :
今回はゲストをお迎えしております!国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター 上村 悠 先生です!

全員 :
よろしくお願いいたしますー!

ジョー :
さっき打ち合わせをしていたら、面白い方でいらっしゃいます、上村先生。キャラクターはどうすればいいですかって(笑)フランクな方がいいのか、まじめな方がいいのかって。ドクターでいらっしゃいますよ(笑)

上村先生 :
素はまじめです(笑)

ジョー :
まじめでいらっしゃるんですね(笑)まずはですね、先生がお勤めの、エイズ治療・研究開発センターとはどういう所ですか?

上村先生 :
エイズ治療・研究開発センター(AIDS Clinical Center, ACC)は、薬害エイズ訴訟の和解をふまえ、被害者救済の一環として平成9年4月1日、国立国際医療センター病院(当時)に設置されたものです。目的はですね、HIV感染症に対する高度かつ最先端の医療提供とともに、新たな診断・治療法開発のための臨床研究・基礎研究を行っています。また、日本におけるHIV感染症診療の水準向上を図るために、最先端の医療情報の提供や、医療従事者に対する研修を行っています。

ジョー :
HIV/エイズ治療や研究の最先端のところでおつとめされているのですね。先生はそのACCでどういったお仕事をされていますか?

上村先生 :
通院される患者さんの診療を行っています。ほとんどが外来での診療になりますが、たまにですね、入院されている患者さんもおりますので、そういう場合は病棟におります。また診療時間以外では、HIVに関連した感染症全般の研究を行っております。

ジョー :
ところで、なんで先生は今のお仕事をするようになったんですか?

上村先生 :
もともと昆虫採集が好きだったんですね。小さい生き物が好きだったんですね。寄生虫だとか、小さな微生物で、これが人間に及ぼす影響がすごい興味深くて。それが感染症に興味を持ったきっかけですね。特にHIVに興味を持ったきっかけは、HIVの診療が特に難しいところにはあるんですが、その診療だけじゃなくて、これから予防しなくてはいけない、社会としてどうやってHIVを予防するべきかという問題や、実際にHIVになってしまった患者さんが社会との関係で悩まれることが多いんですね。そういった問題に関われるということが興味深いなと思いました。

タイジ :
そんな方はじめてお会いしました。実際、男性と女性だと比率はどちらが多いんですか?

上村先生 :
これは国によっても違うんですが、なかなか言いづらいんですけども、男性が多いです。

タイジ :
どの国もそういう傾向?

上村先生 :
もともとアメリカなんかは、はじめ男性が多くて、だんだん男女間でもうつるようになり、女性の割合もとても多いです。

タイジ :
日本は男性の方が多い?

上村先生 :
日本だとまだ男性の方が多いです。

ジョー :
男性が多いというのは男性の同性愛者の中で多いということなんですか?

上村先生 :
そうですね、率直にいってそういうことになります。

ジョー :
なるほど。それって結構皆知っている事実なんですか?聞かないですよね。

上村先生 :
これは難しい、デリケートな問題で、ゲイの方に多いというと、どうしてもゲイの方のイメージが悪くなるので、あまり大きく言えない事ではあるのですが、でも実際はゲイの方の中で多いのは事実です。

ジョー :
難しいのは、HIVの問題というのは、情報もきちんといっていないし、それが故の、この番組、コーナーの趣旨でもあるんですけど、偏見がね、ずっと横たわっているということじゃないですか。これを僕とタイジさんは医療に従事できないですから、どうやって壊していくのかというのが、僕らの一つのミッションなのかなと思っていますね。上村先生はこのような偏見がどうして根づいてしまったのかという原因については、医療の立場で感じることというのはありますか?

上村先生 :
個人的な意見になってしまうのですが、率直にいって三つ原因はあるのかなと思っています。一つ目はHIV、エイズというものが、とても死に近い、悪いイメージする病気であり、恐ろしい病気であるとのイメージがあるということ。二つ目は、セックスで感染する性感染症という病気であるという性感染症への悪いイメージがあること。最後の三つ目とういのは、同性愛者への不理解だと思うんですね。この三つが合わさって、HIVだとかゲイだとかが悪いように見られるんじゃないかなと思います。

タイジ :
実際にACCが始まった、いわゆる薬害エイズ、不衛生な注射だったり、肝炎があったんですよね?

上村先生 :
そうですね。薬害エイズというのは、遺伝的な病気で、血友病などの病気ですね。血が固まりにくいという病気があるんですね。その方たちの治療のための血液凝固因子製剤という薬の中にHIVやC型肝炎のウィルスが入ってしまっていたんです。それで広まってしまったんです。

タイジ :
そうかそうか!その結果、薬害エイズと性感染症のエイズは結果症状は同じなんですか?

上村先生 :
そうです。

タイジ :
薬害エイズって大きなニュースになっていましたよね。

ジョー :
そういうニュースが助長して、偏見がまた広がったというところがあると思うんですが。僕がいつも思うのが、医療関係者ではないので、この偏見をどうしたらいいのかと考えるとね、ちょっと脱線するんですけど、この間、社会学者の宮台真司さんという人と少年法の話になったんですよ。あれって20歳より下のいわゆる少年と呼ばれる人たちが犯罪を犯したらどういう風にするんだっていうものですが、今って少年法はもっと厳しくしろーっていう風に世の中が言っているんすよ。年齢を引き下げたり、もっと少年院に入る期間を長くしろとか、いわゆる厳罰化の流れにあるんですけど、宮台さんが言っていたのは、そうじゃないと、もともと少年とか青年というものは、社会のコミュニティとか親がちゃんと育てればよかったわけで、それが崩壊している中で、制度とか法律だけを厳しくして、あいつはおかしいから法律で何とかしろっていうのはそもそも間違っているという事を仰っているんですよ。僕はそれがすごく分かるなと思っていて、こういう問題も突き詰めると、僕らの周りの共同体とか社会っていうもののインフラが壊れちゃっているから、結局隣にいる人は無関係とかね、怖い、汚いから触らない方がいいとか、何でも他人行儀にしていく、そういう社会のあり方を変えていかないと、解決しないんじゃないかなとすごく思うんですよ。話がでかくなりすぎちゃうかもしれないんですけど、アメリカってね、親に対するリスペクトがすごく強いんですけど、日本ってアンケートとると親に対するリスペクトがすごく少ないんです。だから、親からフェアネスとか正しさみたいなものを教えてもらってないから子供達は何で判断するかというと、正しいとか、何が公平だとかを考える前に損得ばっかり考えちゃうから、自分にとって損しそうな情報にはタッチしない傾向がどんどんと強くなっちゃうんですね。だからそれが社会全体に蔓延してしまっていて。こういう偏見みたいなものも俺関係ねーやとか、そんな話題に巻き込まれたくないや、とか。結局損得で勘定しちゃうんですよ。本来だったら自分のコミュニティの中のそういうことがあったら助けようとするのが普通なはずなんです。その感覚を何とか取り戻してあげたいんだけど、そのためには俺は音楽とか芸術の力が必要じゃないのかなって思う!

タイジ :
確かにそうだと思うよ。公平っていう感覚って、確かにロックあたりから輸入してきた気がする。ついこの間ね、たまに一緒にやっている堂珍のRENTっていうミュージカル、あれも要するにエイズというものが大きなテーマになっていて、エイズがはじまって間もない、80年代ですね?そのあたりのマンハッタン界隈の物語だったんですけど、お話自体は当時のエイズの感じが良く分かる、物語でしたね。

上村先生 :
その当時はエイズが発見されたばかりで、その後、治療法の開発が急がれて。当時は治療法がなかったんですね。

ジョー :
ちなみに先生は現場で治療にあたっていて、患者さんはね、HIVへの差別や偏見のせいで、患者さんはどんな風に困っているとかって体験談とかってありますか?

上村先生 :
実際ですね、具体的にあまり言えないのですが、理不尽な対応を受けている方っていうのはやはりいるようなんですね。差別や偏見みたいなものって、恐らくこのラジオを聴いている方の中にも少なからずあるんじゃないかなと思います。実際、感染したという事を初めて知る患者さんも、HIVの知識が少なかったり、もともとちょっとした偏見があるせいで、とてもショックを受けるんですね。そのせいで病気と真正面から向き合えない方もいらっしゃる。はじめて分かった患者さんにはですね、きっと周囲から理解がないための偏見があるかもしれないから、あまり人には話さないようにしてくださいという風に言っています。家族に伝えるのにも慎重になってくださいと伝えます。ただですね、患者さん自体が知識を得て、実際に治療を受けて普通の生活が送れて、落ち着いてきたところで、信頼できる方に相談してみてくださいといいます。

タイジ :
病気に対する社会的な理解というのはすごい大事な事だね。だってお医者さんが言わないでくださいっていうのなんて、異常だよ?

ジョー :
本来だったらそれを知ってみんな助けるはずの事だからね。

タイジ :
そうだよ、お医者さんが言わないでくださいなんていう病気他にあるのかな。他にはたぶんないよね。癌にしても言わないでくさいなんて無いでしょ。これはやっぱり、特殊な病気という事なんだね。お医者さんが言わないでくださいという事は、社会が受け入れ態勢ができていないと、そういう事なんだね。

ジョー :
それがこの病気の一つの特殊性といいますか、問題点という事になりますかね。 そのためにこの番組コーナーを通して、HIV/エイズに関する正しい情報を多くのリスナーに届けて、少しでも偏見がなくせればなと思います。
今週はゲストに、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター 上村 悠 先生をお迎えしました。来週もゲストで出演してくれます!
先生ありがとうございました!

This day’s select music
SEASONS OF LOVE/ RENT

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